母の日イメージ

「母の日」を喜びに変えてくれた継母

今の私の母は、父の後妻、いわゆる「継母」です。
私が嫁に行った後で両親が熟年離婚したため、継母と言っても同居して育ててもらったというのではありません。
父の再婚も大賛成でした。
それというのも、私の実母が大変な俗物で、何をもらってもすぐに値段を調べ、それで人間を計るような人だったからです。
小学生の時、お祭りの屋台でフワフワのたんぽぽの綿毛のような造花を見つけました。
子どもの目にはとても綺麗に映り、随分長い時間見つめていました。
でも持っていたお金を全部使わないと買えない金額。
もうすぐ母の日。
店の前を何度も何度も行ったり来たりした後、思いきって買いました。
ワクワクして実母にプレゼントすると、「何、こんな安物。しかも白なんて、私に死んで欲しいわけ」と、激怒。
捨てられてしまいました。
それから数十年が経ち、継母が出来てから初めての「母の日」。
継母はバリバリと仕事をする人で、いい物を沢山持っています。
トラウマのある私は悩んだ末に、ガラス製のティーポットセットを送りました。
お湯を注ぐと、花のように開く茶葉が一つついているものです。
値段は大したことはありませんでしたが、花が開くのを見たら喜ぶだろうなとかそんなことを考えながら選んだのです。
当日は継母が仕事だったため、自宅に郵送しました。
そして夜、継母から電話が。
いつもの自信満々、元気一杯な声ではありません。
ちょっとはにかんだような、震えるような声。
「ありがとうね。今、お父さんと一緒に花が開くのを見たよ」初めて見たとか、すごく素敵だったとか、しばらく一人でまくし立てる継母。
そして最後に、ぽつりと言いました。
「今日、プレゼントもらえるなんて思ってなかったから…」私も照れ隠しで、「ごめんね。まだ若いのに、私みたいなでかい娘ができて」と、返しました。
それから十年以上が経った先日、継母から電話がありました。
ポットが落ちて割れてしまったと言うのです。
「ごめんね。ごめんね。でもあんたに何かあったんじゃないかと心配で」と言う継母の言葉に、胸がいっぱいになりました。
長い間ポットを大事にしてくれていたこと、割れた時に私の身を案じてくれたこと。
私も母となり、継母の気持ちが痛いほど心に染みました。
私の母は、この継母です。
これから「母の日」にプレゼントを贈る相手は、一生この人です。
普段は感謝の気持ちをなかなか伝えられません。
堂々と「ありがとう」を言える大義名分が、「母の日」なのです。
今年は何を贈ろうか、今は娘と相談して決めています。
母の笑顔が去年よりも更に輝くように。

Copyright(C) 2010 ははのひ.com All Rights Reserved.